そろっていないところに、惹かれる理由

そろっていないところに、惹かれる理由

昔は、そろっていることが安心でした。
同じシリーズで、同じ柄で、欠けのない状態で。
きれいに並んだ姿を見ると、それだけで満たされた気がしていました。

北欧ヴィンテージに出会った当初も、
できるだけ状態のいいものを探していました。
セットが残っていれば理想的で、
ひとつだけ、という選択肢はあまり考えていなかったように思います。
お気に入りのシリーズが見つかれば、なおさらでした。

けれど、いつからでしょうか。
少しずつ、その感覚が変わっていきました。

全部がそろっていなくても、
この一枚だけは残したい、と思えるもの。
完全ではないけれど、
それでも手放されずに、ここまで残ってきたもの。

そういうものに、
目が留まるようになりました。

時間が経つにつれて、
そろわなかった理由や、
途中で欠けてしまった背景まで含めて、
ひとつの物語のように感じるようになったのだと思います。

ヴィンテージは、
「完璧なまま残ったもの」よりも、
「選ばれ続けて残ったもの」のほうが多いのかもしれません。

誰かの暮らしの中で使われ、
必要なものだけが残り、
いつのまにか、ひとつだけになった。

それでも、
役割を終えずに、
静かに次の場所へ渡っていく。

そう考えると、
そろっていないことは欠点ではなく、
むしろヴィンテージらしさそのものだと感じます。

今の暮らしでも、
すべてをそろえる必要はないのだと思います。
一枚だけ、ひとつだけでも、
自分の中の「好き」や「心地よい」を大事にして、
日常の中にすっと馴染んでくれるものがあれば、それでいい。

完璧ではないけれど、
長く寄り添ってくれそうなもの。
時間を経たからこそ、
その形になったもの。

そんな一点を、
これからも大切に選んでいきたいと思っています。

 

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